8200部隊(ヘブライ語では”shmone matayim”と呼ばれる)は、IDF (イスラエル国防軍) の諜報部隊組織です。この組織は、諜報アナリストによって、世界中で最も手強い技術的な諜報機関の1つであると見なされており、組織の規模以外のすべての事項に関して米国NSA(国家安全保障局)と同等の能力を備えています。

驚くべきことに、8200部隊は18~21歳の徴兵をメンバーとして構成されています。8200部隊に入隊できるのは、厳しい選抜を通った者だけです。ほとんどのイスラエルの国民は、男女を問わず兵役の義務を果たす必要があります。

このため、8200部隊に入隊するための選抜は通常、18歳の国民を対象として、IDFによる厳格な選考過程を通じて実施されます。イスラエル軍は、最も優秀で才能のある新兵を厳選した上で、それらの新兵を8200部隊に配属させます。8200部隊のメンバーに選ばれるのは、同国民のうち1万人に1人であると言われています。

新兵が通過しなければならない選考過程には、計量社会学的な試験、心理学試験、個人面談、リーダーシップや協調性に関する試験が含まれています。IDFでは、彼らが持つ新しい物事を非常に迅速に学習できる能力を何よりも評価します。

軍はこれらの新兵を限られた時間内で採用しなければならないため、最終的には、言語、ソフトウェア、諜報活動などに関して非常に高い学習能力を彼らが持っていることを保証する必要があります。軍には2年間のコースを提供する時間的な余裕はありません。

なぜなら2年後には新兵の兵役期間はほぼ終了してしまうからです。つまり、この選考過程は、非常に迅速な採用を必要とする極めて集中度の高いプロセスとなります。

新兵を選択する際に、8200部隊では、同組織が必要としているのは、チーム内で協働する能力を備えていると同時に、問題に対する従来型でないアプローチを取ることができる能力を失わないような人物であることを認識しています。

パーソナリティ、行動、価値観、そして知的能力をバランス良く備えていることが採用基準として非常に重要視されており、そのことが8200部隊の成功の秘密であると見られています。

8200部隊に採用された新兵は、6ヶ月間の集中訓練プログラムに参加させられます。この訓練の後、兵士たちは8200部隊内における各種の下部組織に配属されます。8200部隊内には多くの下部組織が存在しており、ある下部組織内のメンバーは、別の下部組織に属している他のメンバーが何を行っているのかを知らず、時には自分と同じ下部組織に属している他のメンバーが何を行っているかさえ知らないこともあります。

8200部隊はエリート機関であるため、多くの場合、 同機関の元メンバーは除隊後に、自分の持つ最先端のスヌーピングやハッキングスキルを利用してイスラエル国内、シリコンバレー、ボストンのハイテク地域で仕事を立ち上げます。

2009年に出版されたイスラエルのスタートアップ文化に関する書籍である『Start-up Nation』の著者は、8200部隊およびイスラエル軍のその他のエリート組織のことを「米国のハーバード大、プリンストン大、イェール大に相当する教育機関」であると表現しています。

8200部隊の元メンバーの多くは有名なサイバーセキュリティの専門家へと転身し、Check Point、サイバーリーズン、NSO Groupなどを含むトップクラスのサイバーセキュリティ企業を設立しています。

ベールに包まれた8200部隊。その実態は“スーパーサイバー集団”だった。

軍事組織が、学問およびビジネスの世界とこれほど密接に協力し合って、これら3つの部門すべてに利益をもたらそうとすることは、他の国ではほとんどありません。 現在、イスラエルの人口は800万人ですが、同国は急激に成長しているグローバルサイバーセキュリティ市場において約10%のシェアを獲得しています。

ところで、8200部隊は実際には何を行っているのでしょうか?イスラエルは、同国が敵国として分類している複数の国に囲まれています。戦争が従来型の戦場(陸、海、空)からサイバー領域を含む場所へと移動するにつれ、同国では世界クラスのハッキングや人工知能ツールを必要としています。このような新しい軍事作戦の領域では、攻撃と防衛のための両方のツールが必要となります。

マスコミの報道によれば、IDFによる確認は得られていないものの、8200部隊は(米国と協力して)、2010年にStuxnetコンピュータワームを作成し、これを使ってイランの核濃縮プログラムを攻撃することで、核兵器の必須要素である兵器級のウラニウムの濃縮に使われる数千台ものイラン国内にある遠心分離機を停止させたと言われています。8200部隊の持つ文化は、スタートアップの文化と似ています。

兵士は小規模なグループ内で限られたリソースを使って作業することで、一部のケースでは文字通り生死にかかわる問題を解決します。同組織内では、上官に対する反抗を意味する場合であっても、権威に対する破壊的な行為や挑戦が推奨されます。

同組織のメンバーは、規則に従うだけでは仕事はできないこと、開かれた心で独創的に思考する必要があることを徹底して叩き込まれます。また、同組織のメンバーは、「不可能なこと」など存在せず、「できない」のは一時的な状況に過ぎず、組織の指揮官が「できない」といった場合であっても、粘り強さと執拗さによりその状況を変革できると徹底して教育されます。

何よりも重要なのは、8200部隊が1万人に1人の選ばれたエリートハッカーから構成されているグループであることです。

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