2026年に入り、身近なUSBメモリからマルウェアが見つかるケースが公的機関で相次いでいます。「うちは関係ない」と思っていませんか? 今回は最近のニュースを入り口に、EDRに加えてどのような備えをしておくとより安心か、をご紹介します。

公的機関で相次ぐ「USBメモリのマルウェア感染」

2026年7月、三重県は業務で使っているUSBメモリを一斉に点検したところ、約1,700本のうち47本からマルウェアを検出したと発表しました。また6月末には、陸上自衛隊でも業務用のUSBメモリからマルウェアが見つかっていたことが明らかになっています。

いずれも検出されたのは、他の端末へ勝手に広がる「自己増殖型」など、昔からある比較的古いタイプのマルウェアでした。幸い大きな被害は確認されていませんが、両方のケースに共通していたのは「USBを使う前のウイルスチェックが徹底されていなかった」という、運用面の“穴”です。攻撃が高度だったのではなく、基本的な確認に手を回しきれていなかったことが問題だったのです。

セキュリティ管理に力を入れているはずの公的機関でこうした事例が起きている、という点は見逃せません。決して「特別な組織だから」ではなく、どの企業でも起こり得る話なのです。

 なぜ今、USBメモリが狙われるのか

USBメモリを使った侵入は、実は今に始まった手口ではありません。インターネットが普及する前から、記録媒体を介してウイルスが広がってきた長い歴史があり、USBメモリはその“現代版”とも言えます。2010年に発覚して世界を騒がせた大規模攻撃「Stuxnet(スタックスネット)」でも、インターネットから切り離された施設へUSBメモリ経由でマルウェアが持ち込まれたとされています。つまりUSBは、10年以上前から狙われ続けてきた“古典的”かつ確実なルートなのです。

では、なぜ今もこの手口が使われ続けるのでしょうか。理由は主に次の3つです。

  • ネットワークの防御を迂回できる:メールやWebの入り口はフィルタやファイアウォールで守られていますが、手渡しされるUSBメモリはそれらをすり抜け、直接PCに届いてしまいます。
  • 閉じた環境にも入り込める:工場の制御システムや機密情報を扱う端末など、あえてインターネットにつながない“守りの堅い”ネットワークにも、USBメモリなら物理的に持ち込めてしまいます。
  • 人の「うっかり」につけ込める:「拾ったUSB」「取引先からもらったUSB」を、つい中身を確認せず挿してしまう――こうした行動は、どんなに高性能なシステムを入れても、人の判断だけでは完全には防げません。

さらに、外部から受け取ったUSBメモリにあらかじめマルウェアが仕込まれている「サプライチェーン」経由のリスクもあり、自社だけ気をつけていても防ぎきれません。だからこそ、人の注意任せにせず、“仕組み”で管理する対策が求められているのです。

 EDRの“検知・対応”に、もう一段の備えを

近年、多くの企業がEDRを導入しています。EDRは、端末で起きた不審な動きを見つけ出し、素早く対応するための仕組みです。攻撃を受けた“後”の検知・対応にはとても有効で、今や欠かせない存在です。

一方で、EDRが主にカバーするのは“検知・対応”の領域です。「そもそも、どのUSBメモリを挿してよいのか」というデバイスの管理・制御は、これとは異なるアプローチで備えたい領域であり、EDRには、USBメモリそのものの使用可否を制御する機能までは含まれていません。

たとえば、社員が自宅から持ち込んだUSBメモリや、取引先から受け取った素性の分からないUSBメモリを何気なく挿してしまう――今回の三重県や陸上自衛隊のケースで問題になった、まさにこの“入り口”そのものを守るには、EDRの検知・対応に加えて、デバイスの利用を制御する仕組みを備えることが有効です。

NGAVなら、「エンドポイント制御」で入り口から守れる

そこでおすすめしたいのが、EDRのオプションとして「NGAV(次世代アンチウイルス)」を追加することです。NGAVには、マルウェアそのものを防ぐ機能に加えて、USBメモリなどの利用を管理する「エンドポイント制御」の機能も含まれています。

NGAVは、AIを活用して、未知のマルウェアやファイルを使わないタイプの攻撃まで、実行される“前”に自動でブロックします。従来型のアンチウイルスが「既に知られているマルウェアのパターン」と照合して見つける仕組みなのに対し、NGAVは怪しい“振る舞い”そのものを見て止められるため、今回のような新旧さまざまな脅威に幅広く対応できます。

NGAVの基本的な機能を、もう少し具体的に見てみましょう。Cybereasonの場合、(1)既知のマルウェアをパターン照合で確実に止める「シグネチャ検知」、(2)AIが未知のマルウェアやその亜種を実行前に見抜く「機械学習による検知」、(3)PowerShellなど正規ツールを悪用する「ファイルレス攻撃」の防御、(4)重要なファイルが暗号化される前にランサムウェア特有の振る舞いを検知して止める「ランサムウェア対策」といった、複数の防御層を多層的に備えています。

そして同じNGAVに含まれる「エンドポイント制御」の「デバイスコントロール」機能を使えば、次のような運用が可能になります。

  • 許可したUSBメモリだけを使えるようにする(メーカー・製品・シリアル番号単位で指定できます)
  • 登録していないUSBメモリは、そもそも使用を禁止する

つまり、今回の事例で課題となった「USBの入り口の管理」を、人の注意任せにするのではなく、“仕組み”として実現できるわけです。

導入もシンプル、端末への負担も小さい

Cybereasonの場合、NGAVとEDRは1つのセンサーで動作し、管理画面も1つにまとまっています。新しいソフトを何本も入れ直す必要はありません。通信量も1日あたりメール数通分ほどと軽く、社員のPCの動作を妨げにくい設計になっています。

まとめ

高度な攻撃への備えはもちろん大切ですが、今回の事例が私たちに示したのは「基本的な運用をきちんと回せるか」という、足元の課題でした。

EDRで“検知・対応”を固めたうえで、エンドポイント制御まで備えたNGAVで“入り口の予防と管理”を手当てする――この組み合わせが、これからのエンドポイント対策の標準になっていきます。まずは今お使いの環境にNGAVをオプションとして追加できるかどうか、お気軽にご相談ください。